日経コンストラクションでは2011年に、書籍「工事成績・業務成績80点獲得のセオリー」を出版し、おかげさまでロングセラーとなっています。成績評定での高得点の獲得は、以前から多くの会社が重視していました。

 最近、その傾向はますます強くなっているようです。背景にあるのが、国土交通省が推進する総合評価落札方式の「二極化」。大規模で難易度の高い工事では技術提案を重視する一方、それ以外の工事では技術提案を廃し、会社や技術者の実績を評価しようという考えです。国交省発注工事の大部分を占める後者の「施工能力評価型」で、技術提案を求める代わりに成績評定の重み付けを増しています。

 高得点へのニーズの高まりを受け、日経コンストラクションでは10月26日号で、特集「80点連発の秘訣」を企画しました。タイトルには、「単に80点を取ればいいのではなく、それを継続することが重要だ」というメッセージを込めています。

日経コンストラクション2015年10月26日号特集「80点連発の秘訣」から
日経コンストラクション2015年10月26日号特集「80点連発の秘訣」から
[画像のクリックで拡大表示]

 なぜ「80点」なのかと言えば、80点と79点とでは大きな違いがあるからです。特集記事では、国交省関東地方整備局発注の予定価格1億円の工事を仮定し、シミュレーションしてみました。

 すると、過去3年の成績の平均が80点のA社と79点のB社が競った場合、成績以外の条件が全く同じだったとすると、B社はA社に対して175万円ほどの価格差をひっくり返さなければ落札できないという結果になりました。平均80点以上の会社には技術評価点に6点が加算されるのに対し、75点以上80点未満の会社には半分の3点しか加算されないことが響いています。

 特集記事では、成績評定で高得点を続ける秘訣について、二つのポイントに沿って解説しています。その一つが、成績評定の仕組みを読み解くこと。複雑な成績評定の仕組みを整理すれば、全体の評定点を上げやすい項目が見えてきます。例えば、工事の打ち合わせ簿の整理。評価項目の文言自体は多少異なりますが、主任技術評価官と技術検査官がともに評価する内容です。こうした項目で点を取れば、いわば「ダブルカウント」されるというわけです。

 そしてもう一つのポイントが、社内での体制づくりです。個々の技術者のがんばりはもちろん必要ですが、会社としての平均点を上げるとなると、単発の取り組みでは限界があります。記事では、最近高得点を多く獲得している会社の事例を紹介しています。