東京都の五輪関連工事で多発した「1者入札、99.9%落札」。競争性が十分に確保されていないのではないか、という指摘を受け、東京都は入札改革に乗り出しました。五輪という特殊事情ゆえの結果ではありますが、五輪と関係ない自治体でも同様の事態が生じているという話を耳にします。

 最近の入札の実態を改めて明らかにしようと、日経コンストラクションでは4年ぶりに、主要な発注機関に対して入札に関するアンケート調査を実施。その結果を踏まえ、8月14日号で特集「“狂争”入札」をまとめました。

日経コンストラクション2017年8月14日号特集「“狂争”入札」から
日経コンストラクション2017年8月14日号特集「“狂争”入札」から
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 調査の結果から分かったのは、入札についての問題は各地で発生していたものの、その内容が自治体ごとに大きく異なっていたということです。1つの傾向では説明できず、いわば「両極端」な例が目に付きました。

 例えば、落札率について。東京都で話題となったように、99%以上の落札率だった入札は、全国で6.2%に達しました(2016年度の工事入札。以下同じ)。落札率が高いのは競争性が低いことの表れとも言えますが、一方で過当競争の際によく見られる下限値に張り付く落札も少なくありません。全体の23.4%が、低入札価格調査基準価格または最低制限価格未満の入札でした。

 もう1つ、落札者の決まり方についても両極端なケースが見受けられました。前述の通り、1者入札は全国的に目立っています。67の都道府県と政令市のうち、11の自治体で1者入札の発生率が10%を超えていました。他方、くじ引きで落札者が決まるケースも多く、17の自治体で発生率が30%以上を記録。新潟市では、実に9割近くの落札者がくじ引きで決まっていました。これは、くじ引き落札が問題となっていた4年前の状況から、さらに増えているという結果でした。

 競争性を高めるために、1者入札の抑止対策を実施しているのが40自治体、1者入札を中止・無効にしているのが10自治体ありました。競争性を高める必要性は感じつつも、事務手続きの増加や事業執行の遅れといったデメリットが大きいことから、なかなか思い切った手を打てないという実情がうかがえます。

 今回の調査の結果は一部を本誌に掲載していますが、完全版はウェブサイトに掲載しています(本誌購読者またはウェブ有料会員限定)。そちらも併せてご覧ください。

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