ここ数年、建設コンサルタント会社の売り上げは増加傾向が続いてきましたが、やや陰りが見えてきたようです。日経コンストラクション5月8日号では特集「建設コンサルタント決算ランキング2017」を企画し、建設コンサルタント会社183社の決算を基に売上高をランキングし、建設コンサルタントを取り巻く市場動向についてまとめました。

日経コンストラクション2017年5月8日号特集「建設コンサルタント決算ランキング2017」から
日経コンストラクション2017年5月8日号特集「建設コンサルタント決算ランキング2017」から
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 今回、調査の対象としたのは、2016年1月から12月の間に迎えた決算期の決算(16年決算)です。上に示した画像の通り、売上高が前期比で増加・減少した会社の割合を見ると、12~14年決算では増加した会社が3分の2以上を占めたのに対し、15年と16年の決算では、増加・減少が拮抗しました。17年決算も、堅めに見積もっている会社が多いようです。

 その一因が、東日本大震災の復旧・復興業務のピークが過ぎたことです。同業務の17年決算の売上高見通しについても、「減少する」と回答した会社が半数を超えました。こうした影響もあってか、各社とも、一時期に比べて新卒者の採用を抑える傾向にあることも分かりました。

 先行きが不透明になると、新たな“メシの種”を探す動きが盛んになります。ただ、最近では、新規分野に打って出るよりも、本業の技術力を高める方向に進む会社が多いようです。高い利益率を確保できるプロポーザル方式の受注を強化しようというのです。

 そのために各社が考えている“武器”の1つが、3次元データです。ガイドライン案が策定され、今年度から導入が本格化するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の活用に向け、航空測量会社と建設コンサルタント会社が提携するなど、互いの強みを生かした「合従連衡」が盛んになってきました。

 もちろんこれは、国土交通省が進めている「i-Construction」への対応をにらんだものです。i-Constructionの狙いは建設現場の生産性向上で、対象となるのは主に建設会社です。しかし、測量や調査、設計、維持管理など、建設コンサルタントにもかなりの部分が関係します。「i-Constructionは建設会社のためのもの」と思って距離を置かずに、積極的に関わっていくことが、売上高や利益率の向上に結び付きます。