全現場でのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)導入を打ち出した鹿島。BIMを活用した施工計画の自動化など、生産性を向上させる取り組みを急ピッチで進めている。生産過程で最も比重が大きい現場実務の効率化が、差を付けるカギとなっている。

 現場担当者はパソコン上で、工事現場のゲートの位置を設定するだけ。建物基礎のBIMモデルをもとに、プログラムが地下の掘削範囲を計算。山留めや切り梁、構台といった仮設を自動配置する。要する時間は数分。初期の計画モデルがあっという間に完成する。現場はこれをたたき台として、施工計画の詳細を詰める〔図1〕─。

〔図1〕施工計画のたたき台が数分で
〔図1〕施工計画のたたき台が数分で
仮設部材や重機などの3次元パーツには情報が付加されている。例えば、クレーンのパーツは、ブームを回転させたり、吊り荷の最大荷重などを表示させたりできる。初めてBIMを利用する施工担当者でも直感的な操作を可能にしている。工程表と連動させて表示することもできる(資料:鹿島)
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 鹿島は、地下工事計画の自動化プログラムを開発し、現場での適用を始めた。施工計画の作成は、複数の専門工事会社との調整作業が必要で、複雑な現場では1カ月以上を要することも。同社はBIMモデル上に配置できる仮設部材や重機などの3次元パーツを自社開発。自動配置する機能を付加し、負荷軽減を図った。

 鹿島建築管理本部建築技術部の矢島和美担当部長は「全現場で着工時にBIMモデルがある。施工計画のために新たにつくり直す必要はない。計画の検討に集中することで生産性が向上する」と説明する。現在、地上部分の自動化プログラムも開発中だ。