BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による技術革新は、プロジェクト関係者の設計プロセスへの早期関与を促す。日本設計は意匠・構造・設備設計の情報連携を共通のプラットフォームで実現。作図法の見直しなどを進め、意思決定の迅速化を図った。

 「動画によるビジュアルは、大きな理解の助けになった」。神奈川県鎌倉市にある私立の中高一貫校、栄光学園の望月伸一郎校長は語る。同校は創立70周年事業で、老朽化した鉄筋コンクリート(RC)造の既存校舎を建て替える。新校舎の設計を担当するのは日本設計。設計監修は同校OBの隈研吾氏が務める。大成建設が参画し、共同で実施設計を進めている。

 新校舎は、1階をRC造、2階を木造とする混構造で、橋梁で使うゲルバー梁という手法を採用する計画〔図1〕。2013年の設計業務の公募型プロポーザルでは、3階建ての既存校舎よりも階数を減らす提案が評価された。「これまでなら奇抜な提案とみなされたかもしれない。BIMだったからこそ勝てた」と、日本設計プロジェクト管理部副部長兼3Dデジタルソリューション室長の岩村雅人氏は振り返る。

〔図1〕発注者の理解を深める動画活用
〔図1〕発注者の理解を深める動画活用
栄光学園中学・高校の新校舎の完成予想図。BIMデータを動画ソフトと連携。1週間という短期間でつくり上げ、プレゼンテーションを実施した(資料:日本設計)
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(資料:日本設計)
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(資料:日本設計)
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