今、この好市場で攻勢をかけているのが日本の看板商品でもある木造戸建てのシャーウッド。豪州はシャーウッドを販売する唯一の海外市場でもある。

 積水ハウスが豪州でこれまで手掛けてきた戸建ての多くは、現地の一般的な「ツーバイフォー工法」。対してシャーウッドでは、シドニー郊外の専用工場で日本と同じ機械を用いて木材のカットや穴開け、接合部金物の取り付けなどの加工を施す。その加工済みの柱や梁を現場で組み立てピンで固定する。職人の腕によるズレが生じにくく、気密性や断熱性が保たれる。

 2012年の発売以降、広告宣伝や価格改定などにより受注は増加。週末はモデルルームへの見学者が後を絶たず、販売戸数は年100戸に迫る勢いだ。

 現在は販売戸数の1割以下だが、セキスイハウスオーストラリアの阿部亨社長は「最終的には在来工法よりもシャーウッドの販売戸数を増やしたい。在来住宅の販売戸数を増やすだけでは、ウチがここ(豪州)に進出した意味がない」と意欲を見せる。

 その自信の裏には、「エコ」というキーワードがある。

日本の壁材、電気代を半減

 シャーウッドの売りは、省エネ性能や耐久性の高さ。資源が豊富な豪州は、「日本に比べて環境意識は薄い」(阿部社長)。しかし、電気料金の度重なる値上げや水不足などを背景に、省エネ機運は年々高まっている。

 必要な箇所は現地ニーズに合わせながら、日本で培ったプラスアルファの付加価値を前面に打ち出し訴求していく。その意思は顧客に伝わりつつある。

 冒頭のアルフォンゾ家を訪れたのは2月上旬。真夏の南半球は立っているだけで汗ばんでくる。しかし、アルフォンゾ家に一歩入ると室内は驚くほど涼しい。「引っ越してきてからほとんど冷房は使っていない」とアルフォンゾさん。確かに冷房は入っていない。

 秘密は木造工業化による気密性と断熱性。加えて、シャーウッドの外壁が涼しさをもたらしていた。

[画像のクリックで拡大表示]