「インバウンド2.0」はSNSが重要

 現在のインバウンド状況について中村氏は「2014年10月から始まったインバウンド2.0の状況下にある」と語る。

 「2014年10月、約60年ぶりに日本の免税制度が変わった。時計やデジカメ、炊飯器などなくならないものだけでなく、医薬品や化粧品、酒、菓子などすべての消耗品が訪日客に限り免税になった。これらを販売する店舗が広義の観光業界に含まれるようになった」(中村氏)

 インバウンド1.0は小泉内閣がビジット・ジャパン・キャンペーンを打ち出した2003年にスタートしたという。

 「インバウンド1.0は行政中心で、民間では狭義の観光業界、つまり宿泊や運輸の業界が含まれていた。新宿など特定地域だけのインバウンドで、旅行客は団体旅行が中心。マーケティングやプロモーションも紙やウェブが中心だった」(中村氏)

 それに対し、インバウンド2.0はどう変化したのか。

 「1.0の大都市圏にプラスして、地方の時代になってきた。まさに地方がインバウンドのメーンプレーヤーの1つに踊り出てきたが、東京や大阪、京都に比べて観光資源が分散しているため、地域連携がカギになる。さらに『FIT(個人旅行)』中心のインバウンドに転換した。マーケティングも紙やウェブに加えてSNSが重要な手段になっている。SNSマーケティングにどれだけ力を入れるかで、これからの観光立国政策が変わってくる」(中村氏)

SNSが重要な手段になっていると語る中村氏(写真:安蔵 靖志)
SNSが重要な手段になっていると語る中村氏(写真:安蔵 靖志)
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