日経BPインフラ総合研究所と新・公民連携最前線は5月24日、独自に自治体の人口関連データを集計・分析した「人口総合ランキング」を公表。1位は宮城県富谷町、2位は福岡県粕屋町、3位は愛知県長久手市だった。調査は今回で2度目。
ランキングは、(1)2010年と15年(速報)の国勢調査による人口の増減率、(2)国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が作成した「日本の地域別将来推計人口」(2013年3月)による2040年までの人口増加率、(3)日本創成会議による2040年までの女性増加率(人口移動が収束しない場合の20~39歳女性人口比率)――の3つの要素から算出した。この5年間で人口が増えているかどうかに加えて、今後の自治体のポテンシャルも含めて評価してランク付けしたものだ。集計単位は、政令指定都市は行政区、それ以外は市区町村とした。
前回同様、今回も上位にランキングされた自治体は大都市圏のベッドタウンが多い。都心部と比べて相対的に家賃が安いことに加え、新駅・道路など交通インフラの整備や商業施設の集積により通勤や買い物の便がよいこと、さらに、子育て施策の充実や豊かな自然環境などが、人口増につながるプラス要因として考えられそうだ。
この記事では、トップ20の自治体一覧と、トップ10の自治体プロフィルを紹介する。都道府県ごとの総合ランキングと増加率ランキング、表の見方とランキング算出方法は、新・公民連携最前線に掲載している。さらに「人口増減率ランキング2015」と題した増減率だけのランキングも同サイトに載せた。
順位 | 市区町村(都道府県) | 2010 -15 増減率 |
人口総数 2015 |
人口総数 2010 |
2040 人口指数* |
2040 女性指数* |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 富谷町(宮城県) | 9.67 | 51,592 | 47,042 | 124.40 | 108.34 |
2 | 粕屋町(福岡県) | 8.03 | 45,371 | 41,997 | 129.81 | 111.31 |
3 | 長久手市(愛知県) | 10.71 | 57,593 | 52,022 | 122.17 | 92.37 |
4 | 新宮町(福岡県) | 22.93 | 30,339 | 24,679 | 114.05 | 90.88 |
5 | 吉岡町(群馬県) | 6.49 | 21,086 | 19,801 | 114.98 | 101.92 |
6 | 豊見城市(沖縄県) | 6.75 | 61,128 | 57,261 | 123.75 | 96.36 |
7 | 横浜市都筑区(神奈川県) | 5.28 | 211,899 | 201,271 | 125.24 | 113.39 |
8 | 大津町(熊本県) | 7.19 | 33,480 | 31,234 | 112.58 | 94.50 |
9 | 吉川市(埼玉県) | 6.83 | 69,759 | 65,298 | 110.48 | 101.66 |
10 | 滑川町(埼玉県) | 5.13 | 18,211 | 17,323 | 115.12 | 100.83 |
11 | 菊陽町(熊本県) | 8.64 | 40,996 | 37,734 | 114.63 | 86.93 |
11 | 福岡市西区(福岡県) | 7.09 | 206,974 | 193,280 | 112.28 | 91.40 |
13 | 八重瀬町(沖縄県) | 9.01 | 29,084 | 26,681 | 110.28 | 89.87 |
14 | 日進市(愛知県) | 4.48 | 88,010 | 84,237 | 116.47 | 101.81 |
14 | 南風原町(沖縄県) | 6.45 | 37,518 | 35,244 | 112.72 | 89.49 |
16 | 木津川市(京都府) | 4.42 | 72,843 | 69,761 | 115.50 | 103.74 |
17 | 朝日町(三重県) | 9.73 | 10,563 | 9,626 | 112.53 | 85.20 |
18 | 高浜市(愛知県) | 5.05 | 46,252 | 44,027 | 110.60 | 97.63 |
19 | 鳥栖市(佐賀県) | 5.55 | 72,910 | 69,074 | 108.13 | 97.59 |
20 | 野々市市(石川県) | 6.24 | 55,122 | 51,885 | 112.88 | 87.64 |
20 | 江東区(東京都) | 8.10 | 498,144 | 460,819 | 108.54 | 88.03 |
1位 富谷町(宮城県) 団地分譲がきっかけ
1位となった富谷町は、仙台市の北部に隣接している。仙台都市圏の居住機能を担うエリアとして、1971年に始まった東向陽台団地の分譲を皮切りに、町の南エリアで複数の新興住宅地が計画的に開発された。
その結果、人口は右肩上がりに上昇を続け2012年には5万人を突破した。2016年10月には合併を伴わずに市制移行が予定されている。ちなみに東に隣接する利府町も仙台市のベッドタウンとして発展しており、今回のランキングでは57位に入っている。
国道4号と東北自動車道が並走するように縦貫し、富谷インターや富谷JCTが町中央部にあるため、車での移動も便利となっている。1992年には隣接したエリアに仙台市営地下鉄・泉中央駅(仙台市泉区)が開業して、仙台市都心部までの所要時間が15分と、従来に比べて大幅に短縮、近年は仙台市からの転入者が6割を超える。大型商業施設が南エリアや仙台市北部に集積しているため、生活用品などの買い物がしやすく、キャンプ場も備えた大亀山森林公園など自然にも恵まれている。近年も「スマートコモンシティ明石台」(2011年)など住宅開発が続き、2016年4月には会員制量販店「コストコ」が進出した。