揺れ幅が全く違う

 本誌がこの実験結果を掲載したのは、06年11月号。実はこの「等級1」の実験を直接取材したものではなかった。「等級1」の実験は「倒壊の危険がある」という理由から、関係者以外非公開で既に行われていたのだ。

 直接取材できたのは、06年に行われた「等級3」(耐震要素が建基法の1.5倍)の試験体を用いた公開実験だ。「等級1」の結果については、公開実験後、主催者に再取材した。この再取材で、関係者以外非公開の動画を閲覧する機会に恵まれたが、「等級1」と「等級3」とでは全く揺れ方が違うのに驚いた。「等級1」は、揺れ幅が明らかに大きかったのだ。

●この実験でわかること
●この実験でわかること
写真とイラストで実験結果を再現した。数値は鉛直方向(90度)の柱が何度まで傾いたかを示している(写真:左下は本誌、イラスト:笹沼真人)
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 写真とイラストで比較すると、その差は一目瞭然だろう。わかりやすく角度で表すなら、「等級1」はJMA神戸波で最終的に12度も変形、柱が接合部で折れてしまった。一方、「等級3」の変形角は2.2度。単純にいうと、「等級1」が倒壊したのは「変形角が大きくなり過ぎたから」だ。