3.木造の1階が壊れ易いことは分かっている、全国民で対策を!

 この度の熊本地震では、多くの古い木造が崩落したこと、必ずしも古くない木造建築も崩落してしまったことがあり、耐震性確保の努力が足りなかったことが残念である。我が国の過去の地震(兵庫県南部地震1995年、新潟県中越地震2004年、能登半島地震2007年、新潟県中越沖地震2007年など)でも、2階建木造建築は多く倒壊・崩落している。

 1階には大きな部屋が設けられ易く、特に南側は開放的に作るため筋違や合板を利用した壁が設けられにくい。街道沿いの商業木造建築はその街道に沿った面に壁が設けられない。このように1階の剛性や強度は不十分なだけでなく平面的に偏りやすい。一方、2階には細かく分かれた部屋が設けられ、筋違や合板による壁が多く配置されることが多い。さらに、2階の「柱と壁」は屋根しか支えていないが、1階の「柱と壁」は屋根と2階を支えているから、1階は2階より丈夫に作らねばならないことは誰にでもわかる。「各階の弱さ」は背負っている重量と壁の量の関係で決まるから、1階に被害が集中しやすい。どのような場合でも、地震は相対的に弱いところを集中的に壊そうとする。

 日本は地震国である。昨日まで大丈夫だったからといって、明日は分からない。全国の人々にお願いがある。大きな2枚の画用紙に2.5cmグリッドを書き、これを半間(90cm)として、各用紙に1階と2階の平面図を描き、柱の位置に黒丸を描き、筋違や合板の壁、土壁の部分を赤鉛筆で太く描き入れ、家族皆でよく見て欲しい。平面的にバランスは良いか、2階より1階は丈夫と思えるかなど、真剣に議論して欲しい。市町村のホームページで耐震診断への手引きの案内をしているはずである。ぜひ進んで相談して欲しい。