4月16日未明、熊本地方を中心に最大震度6強を観測する地震が発生した。マグニチュード(M)は7.3で、14日21時30分ころに発生したM6.5の地震よりも震源の規模が大きい。気象庁は16日の会見で、16日未明の地震を「本震」、14日に発生した地震を「前震」とする見解を示した。

 筑波大学の境有紀教授は、16日未明の本震と14日の前震を分析したうえで、「本震は前震の1.6~1.7倍の破壊力のある地震動だった」と説明する。

 境教授が分析に用いたのは、「弾性加速度応答スペクトル」(以下、加速度応答)。これは、地震に含まれるいろいろな波を、建物に影響しやすい成分ごとに分析する方法だ。木造住宅を倒壊させるのは、周期が1~2秒あたりの成分と考えられている。

 16日の本震と14日の前震について、熊本県益城町で観測した地震動の加速度応答を比較したのが下のグラフだ。ここで境教授が着目したのが周期1~2秒の成分。建物の被害に結び付く周期1~2秒、特に周期1~1.5秒の加速度応答は、1.6~1.7倍くらい本震の方が大きくなっているという。

 「マグニチュードが大きくなると、周期の長い成分が増える傾向にある。本震は前震よりもマグニチュードが大きいことから、周期の長い成分が増え、建物に大きな影響を及ぼしたと考えられる」(境教授)

14日の前震と16日の本震で益城町の観測された地震動の加速度応答スペクトル。建物に大きな被害を及ぼす1~2秒の成分は本震の方が大きいことが分かる(資料:境有紀)
14日の前震と16日の本震で益城町の観測された地震動の加速度応答スペクトル。建物に大きな被害を及ぼす1~2秒の成分は本震の方が大きいことが分かる(資料:境有紀)
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