コンクリートをイメージしたカバーデザインの<a href=" https://www.amazon.co.jp/dp/4822239330" target="_blank">「建築のチカラ~闘うトップランナー」</a>。アマゾンの売れ筋ランキング「建築家・様式分野」「建築構造・施工分野」で1位に(3月15日時点)
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 日経BP社が2月末に発行した書籍「建築のチカラ~闘うトップランナー」には、建築界の最前線に立つ10人へのインタビューの全文を収めている。建築家に限らず、設備エンジニアや現場所長、デベロッパー、カメラマンを対象としており、話の主眼も、自分の仕事のスタイルや社会との距離の取り方から、プライベートなどまで、レベルは様々だ。

 書籍「建築のチカラ」のアウトラインを紹介する連載の最後に、5人をピックアップし、インタビューで記憶に残ったコメントを挙げておこう。第一線に身を置く人たちには、同業者とは一線を画する考えや思いがある場合が多い。特に次代を担う若手には、彼らが乗り越えてきた困難とともに、トップランナーたる理由を感じ取っていただきたい。

槇文彦氏
「建築家は最終的に人間に興味を持たなくてはならない」

槇文彦氏(槇総合計画事務所 代表)。槇氏は1928年東京都生まれ(写真:山田 愼二)
槇文彦氏(槇総合計画事務所 代表)。槇氏は1928年東京都生まれ(写真:山田 愼二)
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2016年2月に行ったインタビューでは、15年夏に仕切り直しとなった新国立競技場のコンペにも言及しながら、都市と建築の関係、建築の社会性について、槇文彦氏は90分間、よどみなく語り続けた。インタビューの終盤に聞いたのが、プライベートに関する質問だ。

――日々の生活で、特に心掛けていることはありますか。

 毎日テレビを見たり、新聞を読んだり、家族と話をしたりと、普通ですよ(笑)。今でも電車やバスに乗って通勤しています。その途中で、いろいろな人間を目撃することが大事だと思っています。赤ん坊や子どものビヘイビアも見ていると面白いですし。

――お気に入りのテレビ番組などはあるのですか。

 毎週、日曜の晩には「情熱大陸」(TBS系列局で放映)を見ています。それから「プロフェッショナル仕事の流儀」(NHKで放映)も。これらは様々な職業の人が出てくるので欠かせません。人を見ているのが好きなのかもしれませんね。建築家は最終的に人間に興味を持たなくてはなりませんから。

 なぜかというと、人間には普遍的な部分とそうではない部分があるからです。子どもの振る舞いはどこの国でもどんな時代でも同じだけれど、大人になるとだんだんと変化してきます。AからZまで無限の差異性を人は持っているわけです。そういう人たちが建て主になったり、協働するエンジニアになったりするわけですから。いろいろな意味で人を見る好奇心は衰えませんね。