今年4月、建物の省エネ性能を同じモノサシで測ってランク付けする「省エネ性能表示制度」がスタートする。省エネ基準の適合義務化などを定める「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」は来年(2017年)4月に完全施行を予定しており、省エネ性能表示制度はそれに先立って一部施行されるものだ。

 省エネ性能表示制度は、建築物省エネ法36条に基づく(1)基準適合した建物向け、法7条に基づく(2)それ以上の省エネ性能を持つ建物向け、の2種類を用意する。いずれもエネルギー消費性能の計算方法は同じ。基準以上の省エネ性能を持つ建物向けの表示には、自己評価と第三者認証がある。第三者認証は、住宅性能評価・表示協会が運用する建築物省エネルギー性能表示制度「BELS(ベルス)」を想定している。

左は、建築物省エネ法36条による行政庁認定。既存建築物が基準適合していることを所管行政庁が認定する。通称「eマーク」。右は、法7条ガイドラインによる第三者認証のBELS。基準レベル以上の優れた省エネ性能を星マークの数などで表示する。新築だけでなく既存建築物でも活用可能(資料:国土交通省)
左は、建築物省エネ法36条による行政庁認定。既存建築物が基準適合していることを所管行政庁が認定する。通称「eマーク」。右は、法7条ガイドラインによる第三者認証のBELS。基準レベル以上の優れた省エネ性能を星マークの数などで表示する。新築だけでなく既存建築物でも活用可能(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 2016年3月3日、国土交通省・野村総合研究所主催の「非住宅建築物の省エネ性能表示制度に関するシンポジウム」がすまい・るホール(東京都文京区)で開催された。2月26日の「住宅の省エネ性能表示制度に関するシンポジウム」(関連記事:住宅の省エネ性能表示、賃貸から市場を動かす)に続くものだ。

 ここでは、「非住宅建築物の省エネラベルの今後の展望について」と題されたパネルディスカッションの模様を報告する。グローバルの投資家対応、省エネ性能表示と不動産評価の関係、制度の周知に向けた取り組みなど、実務者であるパネラーのリアルな発言が飛び交った。