評価・表示の満額補助も

 BELSなどの評価・認証や表示にはコストが掛かる。それについて田辺さんは、「欧州では1m2当たり1ユーロ程度の計算費用が掛かると言われている。日本の場合も同様のコストが見込まれるため、その克服が普及の鍵になる」と指摘する。

 これに対して、国土交通省住宅局住宅生産課建築環境企画室長の石坂聡さんは、「既存の建物に対して評価・表示に掛かる費用の3分の1を補助する制度を新設する。特に影響の大きい表示手法などについては満額を補助する。今年(2016年)5月くらいに募集を予定しているので、活用してほしい」と告知。制度が普及に向けて動き出すことと、消費者に認知されることへの期待感を述べた。

 田辺さんは、「産業として、顧客に買ってもらうものの中身を伝えていくことは重要。せっかく公的な省エネ性能表示制度ができたのだから、ビジネスを展開する上で積極的に活用してもらいたい」と提言し、議論を締めくくった。

左から、早稲田大学創造理工学部建築学科教授の田辺新一さん、国土交通省住宅局住宅生産課建築環境企画室長の石坂聡さん(写真:清水真帆呂)
左から、早稲田大学創造理工学部建築学科教授の田辺新一さん、国土交通省住宅局住宅生産課建築環境企画室長の石坂聡さん(写真:清水真帆呂)
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