雨漏りか、結露か…。建て主からのクレームに頭を悩ます実務者は少なくない。だが昨今は、高断熱・高気密住宅が増えてきたことから、結露のトラブルとは無縁になったと思う人もいるだろう。

 そこに落とし穴がある。高断熱・高気密住宅は、ちょっとしたミスが結露やカビを誘発してしまう施工の難しさが潜んでいるのだ。

 例えば、築2年のある住宅では、「2階の寝室の床が濡れる」という現象が発生。建て主から住宅会社にクレームが飛び込んできた。住宅会社の担当者が床下と天井裏に入ったり壁の仕上げ材を剥がしたりして調査をしたが、断熱欠損や漏水跡は見つからない。

 専門事業者が赤外線カメラと気密測定などを実施したところ、換気量が不足していることなどが原因で結露していたことが明らかになった〔記事1を参照〕

 断熱材の施工ミスも結露が生じる原因の1つだ。特に、これまでの仕様とは異なる付加断熱工法に挑戦する場合は注意したい。正しく施工していたつもりが、結露を誘発させてしまっていたということになりかねない。

 例えば、プラスチック系断熱材の外張り工法と繊維系断熱材の充填工法を組み合わせる付加断熱。この場合、繊維系断熱材の室内側に防湿シートの施工が必要だ。ところが、プラスチック系断熱材の外張り工法は防湿シートを張らないケースが多いため、その内側に繊維系断熱材を付加した場合でも防湿シートを張り忘れたり、欠損に気付かなかったりすることがある。このことが、結露を招く原因になる〔記事2を参照〕

 他にも結露を誘発する落とし穴は様々ある。これらは正しい施工や、確認作業などで多くが防げるもの。少なくとも、現場監督や施工者は、結露防止のポイントを押さえておきたいものだ。