歴史的建造物を改修・転用して、観光資源にする取り組みが各地で相次ぐ。収益を維持管理に充てたり、地域活性化につなげたりすることが狙いだ。国もこの動きを後押し。その一環で、今通常国会で文化財保護法改正案を提出した。「保護優先」から「積極的な活用」への大転換──。改修工事が進む先行事例のリポートとともに、改正法案のポイントを解説する。新たな価値の創出で「稼ぐ力」を高める視点が、今後の保存・活用には欠かせない。
目次
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文化財行政にもの申す/デービッド・アトキンソン氏 小西美術工芸社代表取締役社長
「冷凍保存」からの脱却を -
case1 美術館/京都市美術館
スロープ広場をつくり動線刷新 -
case2 劇場/南座
耐震補強を機に舞台設備を一新 -
case3 商業+ホテル/新風館(旧京都中央電話局)
パサージュを設けて回遊性高める -
事例フラッシュ
多用途に広がる「稼げる保存」 -
法制度の動向
文化財保護法改正で活用に転換 -
識者に聞く/後藤治氏 工学院大学理事長
活用に必要な駒はそろってきた