建材1 日射など自然条件を生かして
省エネ性能の向上を図る

 建築物の一次エネルギー消費量を抑制するうえで、日射や通風をコントロールする建築部材への注目度がますます高まっている。

 エービーシー商会の「ライシェル」は、自然光を反射させて室内の奥に取り込む機能を備えた庇だ。主に、上部に採光用の窓を備えた開口部での使用を想定した製品で、採光窓の直下に取り付ける〔写真5〕。

〔写真5〕自然光を室内に導く庇
〔写真5〕自然光を室内に導く庇
「ライシェル」の断面は緩いS字型。右の写真のように開口上部の採光窓下に設置する。上面で日射を反射させてより多くの自然光を室内の天井部に取り入れることで、室内の照度を向上させる(写真:エービーシー商会)
[画像のクリックで拡大表示]

 日射角度が小さい冬場は、上面に反射した光が採光窓から室内を入り、自然光による室内照度を上げる。日射角度が大きい夏場は、下部の開口部に入る直射光を遮る。年間を通して、照明や冷房によるエネルギー消費量の抑制に貢献することを期待した製品だ〔図4〕。

〔図4〕照度は約400ルクス向上
〔図4〕照度は約400ルクス向上
冬場における「ライシェル」の反射光効果。メーカーが、埼玉県川越市内で2016年12月に南西向きの部屋で実施した実証評価の結果だ (資料:エービーシー商会)
[画像のクリックで拡大表示]

 アルミニウム製の本体は上面に光沢研磨処理を施しており、その断面は緩いS字型。開発試験を踏まえて、上面の反射性能が最適になる形状として採用した。

 「ライシェル」のような機能を持つ庇は、一般に「ライトシェルフ」と呼ばれる部材で、以前からあった。だが多くのライトシェルフは、設置する建築物の立地や日射角度といった条件に合わせて、形状や取り付け角度を個別に調整する必要がある。

 これに対して「ライシェル」は形状などの工夫で、条件を問わずに、開口部の所定の位置に取り付けるだけで性能を発揮する。設計価格の目安は、幅600mmのタイプで1m当たり13万5800円(税別)だ。

リモコンでルーバー角度を調整

 YKK APの外付けブラインド「X-BLIND(エクスブラインド)」は、取り付け窓から入る日射熱を最大85%カットできる(ルーバーの角度が90度の場合)。ルーバーの開閉は、室内からリモコンで調整できる〔写真6〕。

〔写真6〕光と風をコントロールする
〔写真6〕光と風をコントロールする
「X-BLIND」の設置イメージ。ルーバーの角度はリモコンで室内から調整可能だ(写真:YKK AP)
[画像のクリックで拡大表示]

 室外側で日射を遮るので、開口部のガラス自体に伝わる熱を抑えることができる。それによって、夏場の室内の冷房効率を高める効果を見込める建材だ。

 新築・改修それぞれに取り付け用の枠部材をセットに販売している。小売り価格の目安は、シャッター幅1631×高さ2295mmの新築用で41万8000円(税別、工費別)だ。