藤森照信氏が設計した「多治見市モザイクタイルミュージアム」(背景の写真)や「ラ コリーナ近江八幡」が多くの人を集めている。女性の割合が多いことも特徴だ。藤森氏は、もともとは建築史が専門の研究者。40代後半で「タンポポハウス」や「ニラハウス」といった異色の緑化建築を設計して名を馳せ、“知る人ぞ知る建築家”あるいは“建築界の異端”と見られてきた。それがここに来て、「社会が大注目する存在」へと評価が変わりつつある。多くの女性に取材すると、藤森建築に引かれる理由は「写真に撮りたい」ということらしい。これまでの現代建築にはなかった何らかの“共感”を抱いているようだ。建築界はそこから何を学ぶべきなのか。本特集では、話題の2施設を取材するとともに、活動分野の異なる4人との対談を行い、「この先の建築」を展望するヒントを探った。
目次
- プロローグ
女性客100人に聞きました - 対談1●「創作」について
小田和正氏(ミュージシャン) - 対談2●「歴史的位置付け」について
五十嵐太郎氏(建築史家、東北大学教授) - 近作リポート●ラ コリーナ近江八幡
田園に200万人呼ぶ藤森ワールド - 対談3●「街」について
馬場正尊氏(オープン・エー代表、東京R不動産ディレクター) - 対談4●「建築とヒューマニズム」について
槇文彦氏(槇総合計画事務所代表) - 対談を振り返って
禁じ得ない“装飾”の2文字