今年4月から、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)に伴って省エネ基準の適合義務や届け出などの規制的措置が始まった。スタート時の対象は延べ面積2000m2以上の非住宅建築物だが、2020年までを目標に、住宅を含めて対象は段階的に拡大する。設計者の目にはともすると、省エネを巡る制度動向が一種の“制約”と映りがち。しかし国策としてだけでなく、住宅建て主の省エネ性能に関するニーズは着実に高まっている。「省エネ」を制約ではなく、一歩先んじて住宅設計の可能性を広げる道しるべとして捉える──。こうした視点から、先進的な取り組みに挑む設計者の事例などを紹介する。
目次
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Interview 私が省エネに目覚めたわけ
堀部 安嗣氏(堀部安嗣建築設計事務所代表)
数値と体感の一致、そこに楽しさ -
case1 ヒラヤノイエ(盛岡市)
建物形状を鍵に省エネ化した平屋 -
case2 ならやまの家(奈良市)
土壁の蓄熱性を温熱環境に生かす -
case3 国見ケ丘の家(仙台市)
北側に大開口でも光熱費が大幅減 -
case4 春日の家(福岡県春日市)
床下暖房生かしZEHに改修 -
case5 パッシブタウン第3期街区J棟(富山県黒部市)
古い社宅をパッシブ化して再生