もはや改修や増築に無縁という建築関係者は少数だろう。再生・刷新を意味する「リノベーション」という言葉も、あっという間に市民権を得た。しかし、日本の建築界がリノベーションに真剣に取り組むようになったのは、せいぜいこの20年。築100年超の建物を当然のように保全・改修してきた欧州や、初期モダニズム建築の老朽化が問題視されて久しい米国とは、経験値に大きな差がある。「地震がない国だからできること」「日本とは法規が違う」といった言い訳を口にする前に、まずは海外の大胆な手法に学ぶことも必要だ。同じことはできないとしても、元になった発想や視点には、日本のリノベーションの可能性を切り開くヒントが見いだせる。
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