東松島市の集団移転団地
東松島市の集団移転団地
宮城県東松島市のあおい地区では、住宅の建設が本格化している。宅地には電柱が立ち並ぶ。被災地で最大規模の集団移転団地だ。災害公営住宅307戸と戸建て用地273区画を整備する。戸建て用地は2015年に全区画の引き渡しが完了した。住民主導の協議会が住宅建設時の街並みルールづくりを進めた。建築物の用途や壁面の位置の制限、最高高さ、形態や色彩など意匠の制限などを定めている(写真:村上 昭浩)
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東日本大震災から5年。被災地ではようやく復興の形が姿を現し始めた。これまで多くの建築実務者が被災地に入り、様々な立場で復興に携わってきた。だが、「建築の職能を十分に生かしきれなかった」と、当事者には挫折感が漂っている。専門的視点から優れた提案をしても信頼されず、なかなか受け入れられない。行政や法律の壁を前に、使命感は空回りするばかりだった。人口流出が進む被災地では、新たな問題も浮上している。復興支援に携わった当事者の証言から復興の教訓を引き出す。

目次

グラビア 震災から5年後の被災地
オピニオン 建築界は信頼されなかった
被災地の難題 二極化する復興
建築家の敗北 提案が良くても実現性に乏しく
復興に学べ 平時こそ災害への備えを