ずさんな対応では病気に

 「昔、飼っていたから分かっている」「聞きかじった内容で同じようにつくればいい」などと言って、犬や猫に対していい加減な知識で建設や改修の仕事を進めるのは好ましくない。不十分な対応は、ペットにストレスを与えて病気にしたり、思わぬ事故によるけがを招いたりする恐れがあるからだ。

 一級建築士でペットの生態に詳しいネコアイの清水満代表は、ペットに配慮した住宅の建設・改修時の心得を次のように説く。「まずはその生態や行動をよく知る。さらに、飼い主から個体ごとの特徴や性格、健康状態、好み、飼育状況などを聞き出す。そのうえで、個々のペットに合わせた提案を考える」

 次記事からは、犬や猫と居住者が心地よく過ごせる住宅を実現するうえで重要な4つのテーマを取り上げる。ペットに配慮した建物の専門家の視点を踏まえ、設計や施工に対する基本的な考え方を紹介する〔写真1〕。

〔写真1〕3人のエキスパートが指南

清水 満
ネコアイ 代表
清水 満 一級建築士、愛玩動物飼養管理士。猫への造詣が深く、「ペット専門建築士」として活動している。ペット共生型の住宅の設計やペット関連商品の開発、イベントの企画などを手掛けるほか、2017年に始まった「ねこ検定」の監修も務めた(写真:奥野 慶四郎)
前田 敦
前田敦計画工房 代表
前田 敦 一級建築士。愛犬や愛猫と快適に暮らす家づくりに積極的に取り組んできた。ペットが屋内でも立体的に回遊できるスロープを設けるという独自のアイデアを考案。スロープをベースにしたペット共生型の住宅を多数手掛けている(写真:奥野 慶四郎)
田中 宗樹
HOUSE-ZOO 代表
田中 宗樹 建設会社社員、国会議員秘書などを経て2016年にHOUSE-ZOOを設立。空き家をリノベーションし、保護猫や保護犬と共生するペット共生シェアハウスの企画・管理を行う。建設中も含めてこれまでに15棟を手掛けている(写真:奥野 慶四郎)