防水シートの二重張りに限らず、この建物には他にも問題点が山積していた。

 その1つは板金の納め方だ〔図1〕。軒先の鼻隠しの下地木材を板金で完全に覆うように施工していた。これでは、浸入した雨水が溜まってしまい、下地木材を腐朽させてしまう。板金の室内側は、浸入した雨水を排出できるよう、端部を下向きに曲げるのが正しい納め方だ。

鼻隠しと破風板の納まりも問題だらけ
〔図1〕雨水の排水経路に頭が回らず
鼻隠しの板金は、下地を包み込む形状になっていた。端部は下向きにするのが正しい納まりだ(資料:第一浜名建装)
鼻隠しの板金は、下地を包み込む形状になっていた。端部は下向きにするのが正しい納まりだ(資料:第一浜名建装)
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妻側では、界面張力の働きと屋根勾配によって、雨水が破風板端部に到達して下地木材に至り、腐朽が広がっていた(資料:第一浜名建装)
妻側では、界面張力の働きと屋根勾配によって、雨水が破風板端部に到達して下地木材に至り、腐朽が広がっていた(資料:第一浜名建装)
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 また、妻側の破風板板金が外壁の内部に差し込まれたような形になっていた部分があった。そのため、破断したシーリング材の隙間から浸入した雨水が、板金の差し込まれた部分を経由して下地木材を腐朽させていた。こうしてみると、施工した住宅会社は防水シートの納まりだけでなく、雨仕舞いの基本を理解していなかったようである。