視線を上へと誘う外装

 設計者は、非公開のプロポーザル方式で選定。設計を大成建設、外装デザインをクラインダイサムアーキテクツ(以下、KDa)が担当した。「建物を目にした人たちの視線を上へと誘い、高揚感を抱かせる外装にしたかった」と、KDaのアストリッド・クライン代表は、デザインの意図を語る。

 “上昇志向”の外装デザインは、3階と7階の開口部を挟んで、上下方向に3つに分節されている。下層はヒューマンスケールの細かいデザイン。中層に少しボリューム感を持たせ、上層は空につながるような上昇感のある大らかな曲線のデザインとした。下層から順に小中大と変化する3つのデザインボリュームは、交差点のはす向かいに立つ銀座の顔、和光本館のファサード構成を参考にしたものだという。

 外装は、正面からひし形に見えるアルミパネル5315枚で構成している。1枚1枚は、中心が50mm出っ張った平たい四角すいだ。一見、複雑なデザインに見えるが、「パネルの幅は統一し、高さだけを変えることで、曲線的なデザインを実現した」と、大成建設設計本部建築設計第三部の芦谷公滋プロジェクト・アーキテクトは話す。

 外装デザインを含む建物の設計は、銀座ルールと呼ばれる地区計画にのっとり、地元のデザイン協議会などに確認しながら進めた。「時間によって表情が変わる面白さもある。銀座らしい伝統と品性を持つランドマークをつくることができた」と、サッポロ不動産開発の井上本部長は手応えを語る。

[日経アーキテクチュア 2016年10月27日号掲載]