2017年4月20日の開業から18日間で延べ150万人以上を集客した大型商業施設。東京・銀座の中心部に立地し、街に商業のにぎわいをもたらすほか、銀座エリアに不足していた観光の窓口や緑化、防災などの機能が盛り込まれた。

 総事業費約861億円を投じ、東京・銀座の中心に、「GINZA SIX(ギンザシックス)」が誕生した。商業施設とオフィスなどを合わせた延べ面積は約14万8700m2と、銀座エリアでは最大規模を誇る。4月20日の開業日には、入り口に長蛇の列が続いた。

2街区を一体化した大規模商業施設
2街区を一体化した大規模商業施設
東京・銀座で4月20日に開業した「GINZA SIX」を西側上空から撮影。同施設は第一種市街地再開発事業を適用し、松坂屋銀座店などがあった2街区を一体化して開発された。施設上部に入るオフィスは、1フロア約6140m2の広さで都内でも最大級だ(写真:吉田 誠)
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 再開発の検討は2003年に始まり、開業まで約14年を要した。地域の人々や行政が再開発に寄せる期待は大きく、計画の初期段階から市民と行政、開発側などで議論が重ねられた。

 参加組合員であり、再開発のコーディネーターや設計のプロジェクトマネジャーとして複数の立場で参画しているのが森ビルだ。設計は鹿島と谷口建築設計研究所(東京都千代田区)による設計共同体(JV)、施工は鹿島が担当した。

 建物は地下6階・地上13階建てで、高さは約56m。中央通りに面する間口は約115mに及ぶ。

 巨大施設であるがゆえに、地域の人々は、街を歩く人の回遊性を妨げないように、開発側に配慮を求めた。南北方向に走る敷地内通路を建物1階に貫通させたのは、そうした要望に応えるためだ。

 施設には商業やオフィスのほか、文化・交流施設として「観世能楽堂」を地下3階に配置した。三原通り側には、観光バスの乗降所やツーリストサービスセンターを設け、銀座に不足していた観光の窓口としての機能も持たせた。

 建物の2階に上ると、4層吹き抜けのアトリウムが来館者を迎え入れる。斜めの模様を施したパネルなどで上昇感を演出し、来館者を上階へと誘う。通路は、銀座に残る路地をイメージして雁行させた。

商業エリアの中央に巨大アトリウム
商業エリアの中央に巨大アトリウム
商業エリアの中心に4層吹き抜けのアトリウムを配置。内装デザインは、キュリオシティ(東京都渋谷区)のグエナエル・ニコラ氏が担当。「照明などは抑えた色調で統一し、各テナントや商品の色が映えるようにした」とニコラ氏は語る(写真:吉田 誠)
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光の注ぐブックカフェ
光の注ぐブックカフェ
6階の「銀座 蔦屋書店」。トップライトから光が差し込む(写真:吉田 誠)
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白色を基調とした明るい商業エリア
白色を基調とした明るい商業エリア
雁行させた商業エリアの通路。路地のように見せるほか、各テナントの顔が凸凹に現れる効果も狙った(写真:吉田 誠)
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