施工管理の人手不足を背景に、大手建設会社は女性技術者の新規採用を加速させている。場合によっては、現場の全技術者が女性という事例も出てきた。今のところは試行段階だが、女性の目線は現場の作業環境を大きく変える可能性がある。
全員女性 制度が使われない理由を把握
現場事務所の技術者全員が女性──。2017年3月にさいたま市で竣工した「ブランシエラ浦和駒場」だ。長谷工コーポレーションと大成有楽不動産が開発した分譲マンションで、設計・施工は長谷工コーポレーションが担当。企画から販売管理に至るまでの全業務に同社の女性社員が携わった。
その人数は24人に及ぶ。作業員も約1割が女性。この現場を率いたのは早坂淳子総合所長だ。1989年に入社以来、現場一筋。同社施工統括部の女性で唯一の部長職でもある。
徹底して女性を起用したのは、女性社員が活躍していたもともとの風土を社内外にアピールするためだ。「反響は大きく、『我が社の開発事業でやってほしかった』といったデベロッパーからの声もあった」と、同プロジェクトの推進役を担った鶴田高士建設部門執行役員は胸を張る。「女性技術者、作業員も『自信が付いた』と口をそろえた」(早坂総合所長)