生産性向上の一翼を担う
現在の小町チームは5人。リーダーは入社5年目で事務担当の諸岡恭子氏が務める。村本郁花氏と木原智美氏は今年入社した社員だ。日常業務の傍ら小町チームとして、作業員の熱中症対策を推進。月2回の環境パトロールのほか、リサイクル活動などを行う。現場の作業環境を改善することがミッションだ。
諸岡リーダーは、「以前の現場では、ミーティングで提案しても『実際は使わないでしょう』と男性社員に言われて進まなかった。女性が多いと『それ、いいね』と共感してくれる」と手応えを説明する。現場内の喫煙所にベンチを追加したのも、小町チームの提案からだ。「座りたくても座れないので、喫煙所が使われないと考えた」(諸岡リーダー)
入社3年目のジョブローテーションで配属された市坪佑梨氏は、「女性が1人ではない利点は大きい。女性同士で相談しやすい」と話す。さらに「女性だからと思われたくないが、この現場では男性スタッフが、遠慮せずに指導してくれる」と続ける。
「作業の一つひとつ、意味を説明しながら教えている。私は男性に限らず、女性も名前は呼び捨て。現場に出たら施工管理のプロとして扱わないと失礼だと思う」(中原所長)
こうした所長の考えは、現場に風通しの良さを生んでいるようだ。市坪氏は「人間関係がすごくいい。ささいなことでも相談しやすい。1人で抱えて、問題を大きくしてしまうことが避けられる」とみる。
この現場には生産性の向上という大目標がある。源泉となるのは作業員のやる気だ。「所員数は工費の割には少ない。作業環境の整備が必要だが、日常の段取りで手が回らないのが実情。女性の目線で、どんどん補ってほしい」と中原所長は期待する。
[日経アーキテクチュア 2017年9月14日号掲載]