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特集1 公共空間が変わる

市民期待の「音楽の洞窟」

台中国家歌劇院

2017/12/08

学生向け特別版「建築の鼓動&土木のチカラ2019」は1冊丸ごとPDFでもお読みいただけます。雑誌と同じレイアウトで、迫力ある見開きの写真をそのままに。 [PDFをダウンロード(116ページ、約57MB)

天井や柱の境がない3次元曲面のチューブに劇場やホワイエが収まり、照明やファブリックが洞窟のような印象を高める。訪れた市民は空間を見渡しながら感嘆の声を上げていた。

台湾・台中にオープンした「台中国家歌劇院」の南東側外観。建物の周囲は広場で、通りを挟んで公園が続く。つぼのようなデザインのファサードが特徴だ(写真:加納 永一)

 「Music Cave(音楽の洞窟)」。市民から親しみを込めてそう呼ばれるのは、台湾・台中市で2016年9月30日にオープンした「台中国家歌劇院」だ。オープンセレモニーで広場に集まった市民たちは、ファサードに組み込まれた大型画面の映像を真剣に見入っていた。

 国際コンペで伊東豊雄建築設計事務所の案が選ばれたのは2005年。あまりに構造が難しいことなどから施工会社が決まらず、途中で1年半もプロジェクトが止まった。結果、完成までに11年を要した。総事業費は約138億円(約43億ニュー台湾ドル)に上る。台中市が発注して建設し、運営は中央政府が管轄する「国家表演芸術中心」が担う。

 建物は地下2階・地上6階建て。3つの劇場を中心にレストランやギャラリーなどで構成している。館内は天井や壁、柱の境目が分からない曲面が延々と続く。まさに「洞窟」を歩くような印象だ。

天井や柱が一体となった有機的な内部空間
1階のインフォメーションカウンターなどが並ぶスペース。3次元曲面が続く構造で、洞窟のような空間が連続している(写真:日経アーキテクチュア)
サンゴ礁のような大劇場
3つの劇場にそれぞれテーマカラーを決め、2007席を擁する大劇場は赤色とした。天井と壁、椅子の張り地は、いずれも赤色だが、グラデーションを付けて少しずつ変化させている(写真:加納 永一)

 構造は、2枚の面に互い違いに円を描き、その間に1枚の膜を張って引き伸ばした形が基本となっている。それによって生まれるカテノイド(懸垂面)を「トラスウォール工法」でコンクリート曲面に再現した。

 セレモニーの当日、伊東豊雄氏は完成した館内を見渡してこう話した。

 「とにかく完成にこぎ着けて安堵している。既に1年半前から広場などはオープンしていて、夜になると演劇やコンサートが開かれてにぎわっている。運営者の芸術監督が建物の面白さを理解していて、思い切ったことをやろうと意欲的なので今後の使われ方が楽しみだ」

菅原 由依子日経アーキテクチュア

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