学生の皆さんから、「仕事の情報が足りない」という声をしばしば耳にします。「具体的な仕事がイメージできなければ、その会社には就職したくない」。そう考えるのも当然でしょう。

 建築の総合情報誌「日経アーキテクチュア」は、建築の実務者向けに専門情報を提供しています。この「学生向け特別版」は、学生の皆さんに建築の仕事の現実をよく知っていただくために企画しました。編集部が収集した情報のなかから、特に新社会人となる皆さんに役立つ情報を選んでお届けするものです。

 2017年は建築界に限らず「働き方」が話題となった1年でした。日経アーキテクチュアでも年間を通して、「働き方改革シリーズ」という記事を不定期で掲載しました。具体的には、「“ブラック”な職場との決別」(4月27日号特集)、「正しいBIMとの付き合い方」(5月25日号特集)、「地域に活力生む『巻き込み型』仕事術」(7月13日号特集)、「女性が組織を伸ばす」(9月14日号特集)、「ロボットが現場を救う」(10月26日号特別リポート)の5本です。

 2016年は4月に熊本地震があり、その報道と検証で大わらわでしたが、17年は腰を据えて建設業界の“仕事の進め方”の変化を取材してみました。学生の方でも読みたくなる記事がたくさんあったはずだと思います。今回の特別版では、そのなかから「女性が組織を伸ばす」の記事の一部を収録しました。

 このほか本書では、谷口吉生氏や伊東豊雄氏といった大御所が設計に参画した話題作、住宅作家・堀部安嗣氏の「省エネ宣言」、中堅・若手建築家の挑戦的な新作など、最前線の話題を取り上げました。新社会人となる皆さんにとって、自身の今後を考えるヒントとなれば幸いです。