ついに8つ目、渾身のラストプッシュ!

 不思議なことに、「安藤忠雄 挑戦」展の会場に入った途端、ランナーズ・ハイのごとく気分が高揚してきた。どこをどう突き進んだのかも分からない。気付けば目の前に8つ目のスタンプが置かれた台があり、背後のガラス越しにはコンクリートの建物(原寸で再現された「光の教会」)が見えている。

 いくばくも残っていない指の力を振り絞り、渾身のラストプッシュ。試合終了を知らせるゴングと、周囲の人々の歓声と拍手が、鳴り響いた(頭の中で)。

埋まったスタンプ台紙を持って記念撮影。お見せできないが近年まれに見る満面の笑み(写真:日経アーキテクチュア)
埋まったスタンプ台紙を持って記念撮影。お見せできないが近年まれに見る満面の笑み(写真:日経アーキテクチュア)
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 やっぱりヘトヘトだ、もう座りたい。導かれるように外の建物に足を踏み入れる。と、その瞬間、十字に切られたコンクリートから差し込む光に照らされた。疲れはどこかへ吹っ飛んでいき、心が洗われる。

原寸で再現された「光の教会」。本当は十字にガラスを入れたくなかったという安藤氏の希望が、ここ六本木でかなった(写真:日経アーキテクチュア)
原寸で再現された「光の教会」。本当は十字にガラスを入れたくなかったという安藤氏の希望が、ここ六本木でかなった(写真:日経アーキテクチュア)
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 これはスタンプラリーを完走した私への、ANDO氏からの祝福なのだろうか?

 持っていたチラシに写る氏の顔に、そっとつぶやく。「前人未到の『挑戦』に立ち向かい、成し遂げた今、あなたのコンクリートばりに滑らかで強い心を手に入れましたよ」と…。

 「ANDO建築スタンプラリー」は、安藤忠雄展の会期と同じ12月18日まで。各施設の所在地など詳細はこちら

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