「21_21 DESIGN SIGHT」、そして「安藤忠雄展」へ

図らずもきれいな左回り。しばらく凝視していると、だんだん「兵庫県立美術館」のらせん階段に見えてきた(イラスト:宮沢 洋)
図らずもきれいな左回り。しばらく凝視していると、だんだん「兵庫県立美術館」のらせん階段に見えてきた(イラスト:宮沢 洋)
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 東京メトロ千代田線「乃木坂」駅に到着。表参道とは打って変わって落ち着いた雰囲気だ。旅も終わりに近づき、少し名残り惜しさが出てきた。

 ゆっくり「東京ミッドタウン」まで歩いていくと「21_21 DESIGN SIGHT」の逆三角形の2枚の大屋根が、夕焼けに反射して出迎えてくれた。

 すると遠目からでも分かる、美術館から外に延びた人の列。まさかのスタンプ待ちか?

三宅一生氏による布のコンセプトに着想を得たという2枚の鉄板屋根が目を引く(写真:日経アーキテクチュア)
三宅一生氏による布のコンセプトに着想を得たという2枚の鉄板屋根が目を引く(写真:日経アーキテクチュア)

 急いで入り口に駆け寄ると、今日は話題の展覧会の最終日だということが分かりホッとする。気分が一転して、こっちの目的はスタンプですから!とドヤ顔で長蛇の列の横をすり抜け、入り口付近のスタンプ台へ。

 すると、スタンプ台に珍しく先客がいた。カップルが「ここ、遠いんじゃない?」「コンプリートは無理そう」と台紙を指差しながらヒソヒソと話し合っている。私のスタンプ台紙をこの人たちに見せたい…。いつも休んでいる頭の計算機が「さりげなく自分の台紙が2人に見える角度」をはじき出した。が、健闘むなしく2人は私の手元に目もくれず通り過ぎていった。

目立つ場所に置かれているせいか、他のどの会場よりも押されている感じがする「21_21」のスタンプ(写真:日経アーキテクチュア)
目立つ場所に置かれているせいか、他のどの会場よりも押されている感じがする「21_21」のスタンプ(写真:日経アーキテクチュア)
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 努力が報われる場所は、ここじゃない。もう少しの辛抱だ…と自分に言い聞かせながら7つ目のスタンプを押す。

 最終目的地である「国立新美術館」へやってきた。この地で、私の「挑戦」はようやく終わりを迎える。美術館の外に展示中の元気なビビッドカラー作品(蜷川実花作)ですら、この疲弊した心身には効き目を持たない。

安藤展が開催されている国立新美術館。美術館自体の設計は安藤氏ではなく、黒川紀章・日本設計JV(写真:日経アーキテクチュア)
安藤展が開催されている国立新美術館。美術館自体の設計は安藤氏ではなく、黒川紀章・日本設計JV(写真:日経アーキテクチュア)