上野の「国際子ども図書館」へ

 JR上野駅から公園に向かう、人、人、人の波。こんなにスタンプラリーのライバルがいるとなるとANDOグッズの当たる確率が…と肩を落としながら「東京文化会館(前川國男設計)」にたどり着く。会館前の掲示板には「上野動物園 無料開園日」の張り紙。なんだ、皆の目当てはパンダか。ひと安心して向かった先は、「国立国会図書館 国際子ども図書館」。

「国立国会図書館 国際子ども図書館」。エントランス背後の建物は「帝国図書館」として1906年に竣工。設計は久留正道と真水英夫(写真:日経アーキテクチュア)
「国立国会図書館 国際子ども図書館」。エントランス背後の建物は「帝国図書館」として1906年に竣工。設計は久留正道と真水英夫(写真:日経アーキテクチュア)
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 ANDO建築とはあまりにかけ離れている面構えを疑いもせず、一心にスタンプ台を目指す。受付の女性に尋ねると、「どうぞ」と目の前を指差す。何か変だ…と思いながら台紙に押す寸前に気付く。これは来場記念の別のスタンプだ!

 危うくトラップに引っかかるところだった。目指すイラストスタンプと、この年代物の建築にANDO氏が残した痕跡を見つけに行かねば。美しい装飾の吹き抜け階段をのぼり光の差す方へつられて進むと、ラウンジが現れた。右には白い化粧レンガ、左にはガラスのカーテンウオール。

向かい合う新旧の素材は、対立というよりも互いの良さを認め合っている様子(写真:日経アーキテクチュア)
向かい合う新旧の素材は、対立というよりも互いの良さを認め合っている様子(写真:日経アーキテクチュア)
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 明治の擬洋風とANDOモダニズムがタッグを組んだ空間で4つ目のスタンプを押す。今回はコンクリートなし?とちょっぴり寂しく思いながら、眼下に見えた弓形平面の新しい建築(これもANDO氏設計)へ向かう。

 そこから図書館の西側サイドを見上げると、ガラスだけでなくコンクリートの増築部分もしっかり見えた。ANDO建築は決して期待を裏切らない。

西側「アーチ棟」からは、ガラスのカーテンウオール越しに旧建物の外壁が見える。(写真:日経アーキテクチュア)
西側「アーチ棟」からは、ガラスのカーテンウオール越しに旧建物の外壁が見える。(写真:日経アーキテクチュア)
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