“夏型結露”が発生?

 測定結果を見ていくなか、隊長が「換気によって生じる“夏型結露”が被害の原因ではないか」と言い出した。温度と湿度の高い夏場の外気が、低い温度で安定しているコンクリート躯体に触れて結露するのが、夏型結露だ。 

 「グラフでは換気によって湿度が大きく下がっているのに、なぜ結露の原因となるのか」──。不信がる隊員に、地下より外気の温湿度が高い状態をイメージするため、別の隊員がグラフの上下を反転して見せた。すると、換気で湿度が下がっていた地下室のグラフが、換気で湿度が上がっていくグラフにも見えてきた。

[画像のクリックで拡大表示]

 隊長の説明と反転したグラフによって、換気が常に湿度を下げるとは限らないことがわかった。外気の湿度が常に、室内より低いとは限らないからだ。

 次回「窓を開けても開けてもジメジメする家(後編)」では、なぜ夏型結露が発生したのかを、模型実験で検証していく。

(初出:日経ホームビルダー2007年12月号 当時の記事のまま再掲載)