離れた個所の漏水も探って補修

 建物内への雨水の浸入個所が、室内で雨漏りが発覚した個所に近いとは限らない。このケースは、その典型例と言えるだろう。

 雨漏りが発生したのは、新築まもない2階建ての木造住宅。雨が降るたびに、1階の洗面所とトイレのサッシ枠から水が染み出すことに、住まい手が気付いた。

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 当初に対応した住宅会社は、当然、サッシを疑った。サッシ枠を固定するビスを締め直したうえで、パッキンの取り付け状況なども確認した。

 ところが、後日の降雨時、また同じ個所で雨漏りが発生してしまった。住宅会社は、あらためてサッシをチェックした。サッシ周辺の外壁の亀裂なども調べたが、どこにも異常はない。困り果てた住宅会社は、住宅の各種調査や検査などを手がける住宅検査保証協会(東京都墨田区)に協力を求めた。

 「雨漏りの状況と、それまでの対応から察して、原因はサッシではない」。現地を訪れた同協会社長の大場喜和さんは、最初にそう感じたという。住宅検査保証協会による再調査では、外壁全体と屋根まで、調査範囲を広げた。その調査では、小屋裏の状態は良好で、屋根が原因ではないことが明らかになった。

(初出:日経ホームビルダー2007年12月号 当時の記事のまま再掲載)
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