勾配天井でパッシブ換気

──エネルギー消費量の削減率の目標はどう設定していますか。

 環境配慮モデルの店舗はそれぞれ、10年比で、削減するエネルギー消費量の目標を決めてきました。各環境配慮モデル店舗における年次ごとの削減率の推移をわかりやすくするために、10年を基準としています。目標は、年々少しずつ上げており、小平市の新店舗は70%削減を目指しています。

──従来型の店舗と比べて建築費用は。

 コンビニの建物はこれまで、ローコストが一般的でした。省エネ性能を高めようとすると、現時点ではローコストに収めにくい場合も少なからずあります。

──この店舗の省エネに関する特徴をお聞かせください。

 天井面に設置した除湿型放射パネルで冷暖房します。エアコンもありますが、店舗内の温熱環境に応じて必要なときにピンポイントで使う程度になると思います。

 建物の外観は、片流れの屋根と勾配天井が大きな特徴です。パッシブで効率的に換気するため、この形状になりました。特に効果を発揮するのは中間期である春と秋、計6カ月程度ですね。店舗の正面側のサッシの下部を開けると外気が入り、斜めになった天井に沿って暖気が上昇して、トップライト兼排気口から自然に排気する仕組みです。

 実際に運用を始めて、来店客が1日に延べ1000~1500人となったときにも、想定していた通りの省エネなどの効果が現れるのか、1年間をかけて検証していきます。

省エネ + 創エネでエネルギー消費量を削減
省エネ + 創エネでエネルギー消費量を削減
店舗に導入した創エネや省エネのさまざまな取り組み。床下を約1m掘り下げて外気を取り込み、適温にして室内に給気する地熱換気を試験的に採用。省エネ実行支援システムは、フィルター清掃など店舗の省エネ活動の実施をサポートするシステム(資料:ローソン)
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──エネルギー消費量を削減するために、什器(じゅうき)も変更したそうですね。

 コンビニで一般的なフロンガスを冷媒としたオープンタイプの冷蔵ショーケースから、CO2を冷媒とし、ガラス扉を付けたショーケースに変更しました。オープンショーケースは冷気が常に流れ出しており、エネルギーを損失しています。この損失を無くすために、断熱効果の高い複層ガラスの扉を採用しました。ガラス扉の結露の改善も見込んでいます。冷媒をCO2とすることで、省エネだけでなく地球温暖化対策も推進します。