空調と照明の改修で★★

──実際に取り組んでみていかがでしたか。

 15年度で5件、16年度で11件を評価しました。内訳は新築がオフィスビル5棟と物流施設1棟、改修がオフィスビル10棟です。結果として、新築だから星が多く取れたわけではなく、改修でもそれなりに星を取得できました。物流施設は用途特性もあって意外に星が取りやすいことがわかりました。

 当社では完成してから20~25年をめどに建物の劣化診断を行い、中期的な修繕計画を策定しています。工事はテナントが入居したままが多く、外皮の断熱性能を上げるなどの対応は難しいので、結果的に20年超で空調設備を、30年超で受変電設備を改修するパターンが多いです。今回は空調と専有部の照明器具の2つを更新したビルを選択してBELSを取得しましたが、少なくともその2項目を改修すれば最低限、星2つ以上が取れることがわかりました。

BELS取得物件は全国各地に点在
BELS取得物件は全国各地に点在
BELSの認証取得は、過去約10年間に新築または改修を行ったビルの中から、星を取得できそうな物件を選んで行った。今後は改修方法の違いで何個の星が取得できるのかを分析し、効率的な省エネ改修ノウハウの取得につなげる(資料:日本生命保険)
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照明と空調を中心に改修し性能向上
照明と空調を中心に改修し性能向上
1988年に完成した地上9階・地下1階のオフィスビル「熊本サンニッセイ」。築後約25年でオフィス照明をインバーター蛍光灯、空調を空冷ヒートポンプマルチパッケージエアコンに交換し、BELSの3つ星を取得した(写真:日本生命保険)
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──今後のBELSへの期待や取り組みについてお聞かせください。

 当社としてはビルの付加価値向上につながって収益拡大にも貢献することが望ましいのですが、認証取得には手間とコストがかかるのでバランスを考えて取り組むことになると思います。テナントは照明やコンセント容量もハイスペック仕様を好むものの、省エネの観点からは適正な仕様が異なるので、テナントにきちんと理解してもらう必要があります。

 住宅ではBELSで4つ星、5つ星を取得するのはそう難しくないようですが、オフィスビルでは投資効果を考えるとハードルが高く、5つ星を取るのは大変です。環境性能評価では最高ランクが当たり前というイメージがありますが、1つ星でも評価が高いミシュランのように、オフィスビルのBELSは省エネ基準適合レベルの2つ星でも性能が高いことを、社会にどうアピールしていくかが重要だと思っています。

顧客やテナントに向けたBELSなどの啓発用資料(資料:日本生命保険)
顧客やテナントに向けたBELSなどの啓発用資料(資料:日本生命保険)
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