BELSで客観的に判断

──これまでマンションなどを探す際、駅からの距離や床面積、築年数などで検索していました。BELSで示されるような「性能」についても、住まい選びの決め手になり得るのでしょうか。

 性能はこれから重要な検討材料になると思います。16年には、首都圏において新築の分譲マンションの供給戸数約3万5000戸に対し、中古マンションの成約戸数が約3万7000戸と過去最高になり、新築を上回る結果となりました。最近、消費者のマンションに求める条件が駅近などに絞り込まれてきたため、新築にこだわらず中古も検討対象となる状況が背景にあるとみています。

 それと同時に、比較的優良な中古マンションのストックも増えています。1990年代後半から08年までの約10年間は、毎年8万戸ペースでマンションが首都圏で供給され続けてきました。その間、00年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度が始まり、耐震や断熱などに配慮した優良なマンションが供給されました。それらが今の新築物件にも引けを取らない中古物件となって市場に出てきているのです。

 今まで新築マンションを探していた人たちも中古マンションを視野に入れるようになり、中古に対しても新築と同程度の性能を求める人が増えていると感じます。

 新築も中古も両方検討した上で、一定の品質・性能の住宅を選ぶ、という状況です。そういった中で、BELSは「省エネ観点における住宅性能の高さ」を客観的に判断できる材料として有効なものであると考え、物件情報に取り入れることにしたのです。

──新築と中古を並行して検討する傾向はこれからも続くのでしょうか。

 例えば下のグラフを見てください。これは新築分譲マンションを購入した人を対象にした当社によるアンケート調査のデータです。15年では新築購入者の46.5%が並行して中古住宅も検討しています。この新築と中古を並行して検討する人の割合は、03年には36.5%しかありませんでした。

 逆に「新築マンションのみ検討」の層は、03年の48.4%から15年の41.8%に減っていることがわかります。

新築マンション購入者の半数が中古住宅も検討
新築マンション購入者の半数が中古住宅も検討
2015年首都圏新築マンション契約者動向調査。対象は、15年1月~同12月の首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の新築分譲マンションの購入契約者。購入に当たって並行して検討した住宅の分野ごとに集計した。グラフ中の「住宅」は、マンションと戸建てを含む(資料:リクルート住まいカンパニー)
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──「希望のエリアで購入したいので築年数は問わない」ということですね。

 はい。そうなると、新築でも中古でも、価格や広さのほか、性能も比較して条件の良いものを選びたい、ということになります。首都圏や関西圏のほか札幌、仙台、広島、福岡などの主要都市でもこの傾向は共通しています。