建築物省エネ法に基づくエネルギー消費性能の表示制度の一つ、BELSがスタートして間もなく1年が経過する。戸建て住宅や共同住宅はBELS評価件数が順調に増えてきた。一方、非住宅(ビル)は動きが鈍い。その流れを加速させるのが、この4月から始まる省エネ基準への適合義務化(省エネ適合性判定)だ。
──住宅と非住宅(建築)を対象にした建築物省エネルギー性能表示制度「BELS(ベルス)」が始まって1年近くがたちました。
BELS評価を取得した建築物は、月を追うごとに増えています。住宅性能評価・表示協会が公開しているデータを見ると、2016年4月末に359件だったのが、同12月末には1万1772件になりました(累計)。実に30倍以上です。中でも住宅の伸びが顕著です。
高いランクの4つ星、5つ星が多数を占めている点も特徴です。下のグラフを見てください。累計で、戸建て住宅は5つ星が96%、共同住宅(住戸)は5つ星が76%、4つ星が17%でした。 住宅についてはネット・ゼロ・エネルギー・ハウス「ZEH(ゼッチ)」の補助事業の取り組みがBELS評価件数の増加を後押ししました。BELSの取得が加点要素だったことは大きいですね。
下のグラフは、寒冷な時期に入浴していて急死する人が多いというデータです。いわゆるヒートショックですね。BELSの星が多い省エネ住宅やZEHは、住宅内の温度差を小さくする効果も見込めます。健康の面からも、今後はさらにBELSに注目が集まるのではないでしょうか。
──非住宅建築物のBELS評価の取得件数はいかがでしょうか。
残念ながら、非住宅の評価件数はそれほど増えていません。非住宅の新築は数が限られているので、BELSの普及はストック数の多い既存建築物で積極的に進めていく必要があります。
ただ、既存建築物でも、一次エネルギー消費量の計算には新築と同様の手間がかかります。新たに計算コストが発生するので、ビルオーナーもそう簡単に取り組むことができないのでしょう。計算した結果、1つ星や2つ星では意味がないと考える人も少なくないと思います。