省エネ性能に求められる数値をクリアするために、計画にのっとって厳格に工事を進めていくことになる。また、設計者と工事監理者、施工者が現場の情報を正確に、タイムリーに共有することが大切だ。
──「省エネ計画」が建築確認だけでなく完了検査まで大きく影響します。
延べ面積2000m2以上の非住宅建築物については、確認申請と並行して、所轄行政庁または登録省エネ判定機関に「建築物エネルギー消費性能確保計画(省エネ計画)」を提出することが必要になります。
その後、もし、計画変更が生じれば省エネ適合性判定を再申請しなければなりません。「軽微な変更」にとどまる場合は再申請の必要はありませんが、所定のルールに従って確認されます。
また施工中には工事監理者が施工内容を確認し、完了検査でも省エネ計画との整合性をチェックすることが求められます。
この一連の作業について、設計者、工事監理者、施工者など関係者が同じレベルの認識を持ち、審査・検査機関との間に食い違いが生じないように体制を整えておくことが必要です。現在、その際に共有化する開示情報の整理などについて、私は竹中工務店としてだけでなく、日本建設業連合会の建築物省エネ法関連の審議委員としても、国土交通省の検討委員会や意見交換会などで携わっているところです。
──特に重要になる手続きは?
関係審査・検査機関との事前協議ではないでしょうか。提出書類の中でどの数値が要点となり、どの設計図書が対応しているか。そういった情報を審査・検査機関ときちんと擦り合わせて整理し申請に臨むことで、よりスムーズに受領されるのではないかと思います。
──施工中や完了時についてはいかがですか?
申請時の計画内容に基づき、工事監理、完了検査の厳格化がなされるようになります。例えば「現場検査の際には工事監理者が確認した書類を現場に備え付けておく」ことが求められています。
それに関連して、当社でも工程のどのタイミングで工事監理者に書類を確認してもらうのか、どういうものをどういう形で施工の現場に備え付けるのかなどが課題に挙がっています。工事監理者と施工者、いずれの立場からしてもそういった書類には、ある程度決まった書式があった方がいいと思います。
それに沿って、建材や設備機器の性能も把握され、屋根や外壁などの断熱の施工も徹底され、施工の現場管理者が逐次確認していくことになるでしょう。省エネ制御の試行や確認も今まで以上に行われると思います。