国内外の金融機関を渡り歩いた堀江氏。再生可能エネルギーファンドやCO2排出権取引に携わり、環境の重要性を意識した。代表を務めるCSRデザイン環境投資顧問で、環境配慮と経済性が同居した社会づくりをめざす。

堀江隆一(ほりえ・りゅういち) 日・米・欧の金融機関を経て、2010年に不動産のESG投資や環境不動産に関する助言・調査を主業とするCSRデザイン環境投資顧問を設立。東京大学法学部卒、カリフォルニア大学バークレー校MBA、桜美林大学大学院非常勤講師、国連環境計画金融イニシアティブ不動産WGアドバイザー、国土交通省・環境省等の関連委員会の委員・WG長多数 (写真:清水盟貴)
堀江隆一(ほりえ・りゅういち) 日・米・欧の金融機関を経て、2010年に不動産のESG投資や環境不動産に関する助言・調査を主業とするCSRデザイン環境投資顧問を設立。東京大学法学部卒、カリフォルニア大学バークレー校MBA、桜美林大学大学院非常勤講師、国連環境計画金融イニシアティブ不動産WGアドバイザー、国土交通省・環境省等の関連委員会の委員・WG長多数 (写真:清水盟貴)
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――環境に着目されたきっかけを教えてください。

 これまで、日本興業銀行やメリルリンチ証券に勤め、ドイツ証券ではマネージング・ディレクターとしてストラクチャード・ファイナンス業務を統括していました。ドイツ証券では、再生可能エネルギーファンドや、排出権の取引などに関わるようになったのですが、それがこの分野に興味を持ったきっかけです。環境に関連する金融や投資が、単に世の中にいいことというだけではなく、利益を生むということと両立するということが大事だと思っています。

──環境不動産に対して御社が果たす役割とは。

不動産会社・運用機関のサステナビリティ配慮を測るベンチマークであるGRESB。2015年調査では日本から上場会社(J-REITなど)24社と、私募11ファンドが参加した(資料:CSRデザイン環境投資顧問)
不動産会社・運用機関のサステナビリティ配慮を測るベンチマークであるGRESB。2015年調査では日本から上場会社(J-REITなど)24社と、私募11ファンドが参加した(資料:CSRデザイン環境投資顧問)
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 環境・サステナビリティへの配慮と経済性との両立をめざしています。具体的には二つの事業を行っています。一つは不動産会社やREIT(不動産投資信託)、ファンドのサステナビリティへの取り組みを評価する国際評価のGRESB(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)において、各社の評価が高まるようにアドバイスすること。もう一つは国や自治体に対して調査受託や委員会参加という形で、環境不動産やESG投資が普及するような政策提言を行うことです。

――不動産業界の環境に対する認識はどのようになっていますか。

 最大手のデベロッパーはかなり高いレベルのものをめざしています。一方、中小のビルオーナーは会社によってまちまち。非常に意識が高い会社もありますし、全く関係ないという会社があるのが現状です。

 また、環境に配慮した取り組みと情報発信との間にずれがあります。レベルの高い取り組みをしていても、自社の基準で運用するにとどまり、第三者認証を活用するなどして社会に広く伝える会社はまだまだ少ないと思います。もっともJ-REITに限っては発信が進んできていて、ここ数年はGRESBへの参加者も増えています。