今年4月に始まる省エネ性能表示制度と容積緩和措置で、建物の省エネ設計はどう変わるのか。1年後の省エネ基準の適合義務化スタートも見据えて、省エネへの取り組みを日本設計執行役員環境・設備設計群長の柳井崇氏に聞いた。

柳井 崇(やない・たかし) 1961年北海道生まれ。1988年東京都立大学(現首都大学東京)大学院卒業、日本設計環境・設備設計群入社。2011年執行役員環境・設備設計群長、現在に至る。品川インターシティ、マブチモーター本社棟、日産先進技術開発センター等の設計監理に従事。空気調和衛生工学会理事、都市環境エネルギー協会副理事長、建築設備技術者協会理事等の社外活動にも参加(写真:清水盟貴)
柳井 崇(やない・たかし) 1961年北海道生まれ。1988年東京都立大学(現首都大学東京)大学院卒業、日本設計環境・設備設計群入社。2011年執行役員環境・設備設計群長、現在に至る。品川インターシティ、マブチモーター本社棟、日産先進技術開発センター等の設計監理に従事。空気調和衛生工学会理事、都市環境エネルギー協会副理事長、建築設備技術者協会理事等の社外活動にも参加(写真:清水盟貴)
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――日本設計では、建築物の省エネ化にはどのように取り組んでいますか。

 建物単体はもちろんですが、力を入れているのはインフラ系です。地域冷暖房システムなど省エネのためのプラットフォームをつくったうえに建物を建てることで、省エネ効果を一段と高めていこうと考えています。

 最近の事例では、東京・港区のJR田町駅東口北地区再開発事業の第1街区でスマートエネルギーセンターを中心に港区の公共施設、愛育病院、児童福祉施設を結ぶスマートエネルギーネットワークを構築し、2014年11月から熱と電気の供給を開始しました。従来は、建物は建物、プラントはプラントで別々に設備を稼働していましたが、情報通信技術(ICT)でエネルギーの需給情報や気象などの外部情報を収集することで最適制御の実現を図っています。

スマートエネルギーネットワークの構成イメージ
スマートエネルギーネットワークの構成イメージ
東京・港区のJR田町駅東口北地区再開発事業の第1街区で第1スマートエネルギーセンターを中心に港区の公共施設、愛育病院、児童福祉施設を結び、2014年11月から熱と電気の供給を開始した。15年10月に着工したオフィスビル、ホテルなどの第2街区に建設される第2センターとも18年から連携して運用する。都市再開発エリアでのスマートエネルギーネットワークの構築は日本初(資料:日本設計)
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