「性能をわかりやすく伝える」

 ディスカッションの口火を切ったのは、すてきナイスグループ(横浜市)取締役の平田潤一郎氏。建材流通のほか、木造戸建て住宅の供給も自社で手掛けている。BELSについては本拠地のある神奈川県を中心に約220件で取得。そのうち190件が5つ星となっている。BELS導入の理由として、平田氏は「わかりやすさ」を挙げた。

 「当社では環境、健康、耐震を重要なテーマとして取り組んでいる。省エネ性能の必要性やメリットについて顧客にいかにわかりやすく伝えるかが大きな課題だと感じていた。BELSは公的で第三者的な証明なので信頼性が高い。そして星の数で性能が表現されるので、直感的に理解されやすい」(平田氏)。

 その例として平田氏は、熊本県益城町で、熊本県や日本建築士会連合会とともに建設に携わり、17年1月にオープンした復興住宅のモデル棟について言及。「冬寒く、夏暑い盆地型の気候に配慮して断熱性を高めた仕様にして、BELSを取得した。認証マークをモデル棟の入り口付近に掲示したところ、見学に来た市民に『こういうお墨付きがあるなら安心だね』と言われた」と手応えを語った。

すてきナイスグループ取締役の平田潤一郎氏(写真:清水真帆呂)
すてきナイスグループ取締役の平田潤一郎氏(写真:清水真帆呂)
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 工務店の全国組織、JBN(東京都中央区)のZEH委員会の委員長であり、地域ビルダーのエコワークス(福岡市)社長でもある小山貴史氏も「BELSによって客観的に顧客に性能の高さを伝えられる」と平田氏に同意する。

 同社では今後、全戸にBELS評価を表示することを決めた。以前から長期優良住宅の仕様を取り入れていたので性能評価にも慣れており、BELSの申請書類を作成する時間は30分から1時間程度のプラスで済む。評価機関への費用負担も1件につき1万~3万円程度だという。

 全戸BELS表示を決めてから、社内の設計担当者の意識も変わった。「設計段階から省エネ性を前提として、開口部や設備機器の仕様などを計画するようになり、提案内容がレベルアップした」と小山氏。

JBNのZEH委員会委員長、エコワークス社長の小山貴史氏(写真:清水真帆呂)
JBNのZEH委員会委員長、エコワークス社長の小山貴史氏(写真:清水真帆呂)
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