「不動産に新たな価値を生む」

 各氏の提言を受けた国土交通省住宅局住宅生産課建築環境企画室長の山下英和氏は、「今後も様々な補助事業によってBELSの普及に力を入れていく」と明言。「この4月から延べ面積2000m2以上の非住宅建築物を対象に省エネ基準の適合義務化が始まる。そこでもうひと手間をかけてBELSも取得して、性能の高さについてもアピールするという流れが生まれるといい」。

 また「パッシブデザインの工夫など新しい省エネ技術を評価する方法や、基準・指標についても検討を続けていく」と語った。

国土交通省住宅局住宅生産課建築環境企画室長の山下英和氏(写真:清水真帆呂)
国土交通省住宅局住宅生産課建築環境企画室長の山下英和氏(写真:清水真帆呂)
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 パネルディスカッションを締めくくったのは田辺教授。「今回の省エネ基準適合義務化を『規制』と捉えて不自由になってしまうのはもったいない。むしろ、省エネ性能が不動産に新たな価値を生むと考えたほうがいい。新築や中古住宅の市場だけでなく、賃貸住宅の市場にも新しく性能というセールスポイントができるのだから」。

 省エネ性能表示制度は、人口の減少、新築着工数の低迷、住宅ストックのだぶつきといった先行きの不透明な状況に活路を見いだす材料になりうるのではないか。パネルディスカッションでは、そのような前向きな議論が熱気を込めて交わされた。

早稲田大学創造理工学部建築学科教授の田辺新一氏(写真:清水真帆呂)
早稲田大学創造理工学部建築学科教授の田辺新一氏(写真:清水真帆呂)
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