2017年4月1日から建築物省エネ法の適合義務が施行される。特定建築物の新築や増改築は省エネ基準への適合義務を負うほか、建築確認、完了検査と関連付けられる。適合義務の取り扱いを中心に、同法のポイントを解説する。今回は、計画変更と軽微な変更の違いなどについて。
省エネ適合性判定後に省エネ計画に変更が生じた場合、建築主は計画変更に伴う省エネ適合性判定を受けなければならない。
なお、以下の変更は「軽微な変更」とみなされ、計画変更に伴う省エネ適合性判定を受ける必要はない。
- (A)省エネ性能が向上する変更
- (B)一定範囲内の省エネ性能が低下する変更
- (C)再計算によって基準適合が明らかな変更(計画の根本的な変更を除く)
通常の省エネ基準で評価ができない特殊な設備などを設置する建築物については、大臣認定または任意評定で省エネ性能を評価する。
大臣認定とは、(1)自然通風利用など建築物全体で省エネ効果を算定する必要がある(2)風量や河川の水温など建設地に固有の条件に基づき性能試験を行う必要がある、など通常の省エネ基準では評価できない建築物を対象に、省エネ基準に適合する建築物と同等以上の省エネ性能を有することについて、国土交通大臣が個別に認定するもの。
大臣認定に際しては、登録省エネ評価機関の性能評価を受け、その評価結果に基づき国土交通大臣の認定書が交付される。この大臣認定を取得した建築物は適合判定通知書の交付を受けたものとみなされる。同様に届け出の必要な建築物の場合には届け出をしたとみなされる。
任意評定とは、 前述の(1)(2)のいずれにも該当せず、性能試験などによる性能値を用いて、省エネ基準に準拠した算定方法で一次エネルギー消費量を評価可能な建築物に対して適用する評価方法。評定は登録省エネ評価機関で行い、同評定を用いて省エネ適合性判定や届け出を行う。