特定建築物に対する適合義務
同法は大きくエネルギー消費性能基準(省エネ基準)の適合義務などの規制措置と、誘導基準に適合した建築物の容積率特例などの誘導措置の2つに分かれる。そのうち誘導措置は16年4月1日からすでに施行されており、規制措置は17年4月1日から施行される。
規制措置の主な内容は下の表の通り。特に影響が大きいのは、特定建築物(延べ面積2000m2以上の非住宅)に対する適合義務だ。17年4月1日以降に確認申請をした建築物が規制措置の対象となる。
該当する建築物を新築または増改築する場合は所管行政庁あるいは登録省エネ判定機関に建築物エネルギー消費性能確保計画(省エネ計画)を提出し、建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適合性判定)を受けなくてはならない。いわゆる「省エネ適判」だ。
省エネ適合性判定に際して問われるのは非住宅の設計一次エネルギー消費量のみで、外皮性能は問われない。建築物全体のBEI(設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量の値)が下の表の数値以下であればよい。複合用途建築物の場合は、住宅部分を除いた非住宅部分のみが表の数値以下であればよい。なお、増改築の場合、既存部分のBEIは1.2とし、増改築部分のBEIと面積案分で算出することができる。
設計一次エネルギー消費量の算定方法は、詳細な計算を行う「標準入力法」と、建物用途ごとに設定したモデル建物を用いる「モデル建物法」がある。
標準入力法はモデル建物法に比べ、計算に際して入力する項目数が多く、精緻に省エネ性能を評価できるが、申請者・審査者の負担が大きい。そこで、標準入力法の入力シートからモデル建物法の入力シートが自動生成され、モデル建物法による結果が出力できるようになっている。このモデル建物法による結果が省エネ基準に適合していれば、その結果を使うことでモデル建物法と同様の負担で手続きができるようになる。