ドイツのミュンヘンで世界最大規模の建築見本市BAUミュンヘン2017が開催された。省エネ先進国のドイツでは、どのような建材・設備が開発され、販売されているのか。ドイツ在住の建築・都市・環境コンサルタントの永井宏治氏が、省エネに関する製品の最新動向をリポートする。

寒波に見舞われ、-15℃が続く中、25万人の来場者数を記録した(写真:永井宏冶)
寒波に見舞われ、-15℃が続く中、25万人の来場者数を記録した(写真:永井宏冶)
[画像のクリックで拡大表示]

 2017年1月16日から同21日まで、ドイツのミュンヘンで世界最大規模の建築見本市「BAUミュンヘン2017」が開催された。BAUミュンヘンは、2年ごとの開催を通して出展メーカー、訪問者数ともに成長を続けている。今年は45カ国から約2100社が参加、約18万m2に展示されたブースを25万人が訪問した。

 出展するメーカーが新製品でBAUミュンヘンに臨む場合、展示会の数カ月前に発表して展示期間中を商談に費やすか、展示会で初めて新製品を発表して訪問者やライバルメーカーを驚かせるかのどちらかに分かれる。両者を分析すると、ドイツ建築業界の流行を顕著に表していることが明らかになる。

 今回のBAUミュンヘンで目立ったテーマは、以下の3つ。

 1つ目は、難民の流入や、低金利を背景とした不動産投資ブームによる新築・リフォーム需要の増加。これに伴い、施工が速く、かつ職人の経験が浅くともミスが発生しないアイテムが求められている。

 2つ目は、特にファサード部分で使用されるものが多いが、納まりがスマートになっている。例えば、目立たない、あるいは風雨にさらされても雨垂れの痕跡を残しにくい構造となっているものなど。

 3つ目は、エコ意識の高いもの、持続可能な建材ではニッチなイメージから幅広く採用されやすいもの、従来型の建材では有害物質や生産方法への配慮が向上したものなど。