ファサードをスマートに

 近年のドイツにおける建築デザインの流行の一つとして、平屋根で庇をつけない、極力ファサードをすっきり見せるものがある。この種の建築物では、雨どいもファサード内に組み込まれ、外観からは見えなくなっていたりする。

 この場合、ファサードに極力余計なものをつけずにスマートに見せる一方、換気口、水切りやその他の部材からの雨垂れでファサードが汚れるのを防止することが必須となる。こうした対策を意識した製品は様々な部位用に開発されている。最近の建築物を見ると、突起物が少なく、スマートな印象を受けるのはこのためだ。

部分換気の給・排気口の室内側(左の写真)、室外側(右の写真)。ファサードを前から見る場合には見えない。また、雨垂れしても水切り部分に落ちる仕組みになっている(写真:永井宏冶)
部分換気の給・排気口の室内側(左の写真)、室外側(右の写真)。ファサードを前から見る場合には見えない。また、雨垂れしても水切り部分に落ちる仕組みになっている(写真:永井宏冶)
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 ドイツ国内、特に住宅業界では樹脂サッシが主流だが、アルミクラッドを使用した木サッシの人気は成長を続け、改良も進んでいる。木サッシでもフラット構造のバリアフリー化はほとんどのメーカーが導入しており、大型化や操作性の向上が新たなテーマとなっている。特に、大型樹脂サッシでは框が厚ぼったく見えるため、木サッシにおいてもスマートに見せる技術が求められている。

木サッシで高さ3400mmまで、コーナーも対応可能。Uw0.63W/m2Kや46dBの高い防音性能を持つほか、框部分は50mmの高さと、見た目は非常にスマートだ。細い框にも関わらず構造上の耐力を確保するため、障子部分は6mm厚のガラス3枚(通常は4mm)で支えられている(写真:永井宏冶)
木サッシで高さ3400mmまで、コーナーも対応可能。Uw0.63W/m2Kや46dBの高い防音性能を持つほか、框部分は50mmの高さと、見た目は非常にスマートだ。細い框にも関わらず構造上の耐力を確保するため、障子部分は6mm厚のガラス3枚(通常は4mm)で支えられている(写真:永井宏冶)
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 断熱材は性能向上を続ける一方、従来型の石油・発泡系からの脱却が続く。λ値0.040W/mK弱程度の性能であれば、ミネラルウール系や木質系でも出せるということもあり、難燃性や有害物質、持続可能性で有利な製品への移行が進む一方、以前であれば使用箇所が限られていたエコ断熱材も、バリエーションを増やすことでモダンなイメージが浸透してきている。

バインダーを使用しないグラスウール。ウールの構造のみで絡まりあうようにできているため、バインダーがいらない。通常のマットタイプに続いて、充填用も発表された。フェノールベースではなく、ホルムアルデヒドを含まないバインダーを使用したグラスウールは数年前から市場にでている(写真:永井宏冶)
バインダーを使用しないグラスウール。ウールの構造のみで絡まりあうようにできているため、バインダーがいらない。通常のマットタイプに続いて、充填用も発表された。フェノールベースではなく、ホルムアルデヒドを含まないバインダーを使用したグラスウールは数年前から市場にでている(写真:永井宏冶)
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木質断熱材メーカーは屋根の外断熱から充填用、床の防音材まで幅広く製品開発の競争を繰り広げている(写真:永井宏冶)
木質断熱材メーカーは屋根の外断熱から充填用、床の防音材まで幅広く製品開発の競争を繰り広げている(写真:永井宏冶)
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充填用木質断熱材。古紙からのセルローズ製造過程を批判的に捉える声は業界にも一部あり、古紙ベースのセルローズに対抗する形で開発された。また、木原料からできる限り多くの製品を生み出すアイデアの一つとしても期待されている(写真:永井宏冶)
充填用木質断熱材。古紙からのセルローズ製造過程を批判的に捉える声は業界にも一部あり、古紙ベースのセルローズに対抗する形で開発された。また、木原料からできる限り多くの製品を生み出すアイデアの一つとしても期待されている(写真:永井宏冶)
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