湿式断熱への対抗

 ドイツではこれまでに湿式外断熱の施工効率が著しく向上してきたこともあり、湿式は最も安い建材という位置づけにある。ただし、近年では発泡系湿式外断熱の解体時の処理問題や、持続可能性の低さといった観点から、風当たりが強くなってきた。これに対して、ドイツ乾式ファサード協会を筆頭に、乾式メーカーは施工性の高さを上げるなどして、競争力をつけようとしている。

乾式外断熱でファサードの取り付けを容易にするためのパーツ(写真:永井宏冶)
乾式外断熱でファサードの取り付けを容易にするためのパーツ(写真:永井宏冶)
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 湿式への対抗という点では、サンドイッチパネルも改良が重ねられている。断熱材から外装パネルまでできあがっているものを一つの製品として納品するため、当然、施工は速い。メーカーが近年、販売している製品では、パネル単体で厳しい省エネ基準を満たすだけでなく、デザインも近代化が進んでおり、様々な面で求められる高いニーズに応えるよう工夫されている。流行のスタイルである大開口部に対応するため、ガラスやアクリル質の光沢を持ったものや、アルミ質のものが好まれる。

Glass Sandwich Panelはポリウレタンやミネラルウールの断熱材を組み合わせ、パネル単体でU値0.13W/m2Kの性能を持つ。長さ16mまでパネル1枚で製造可能。LEDを組み込むこともできる(写真:永井宏冶)
Glass Sandwich Panelはポリウレタンやミネラルウールの断熱材を組み合わせ、パネル単体でU値0.13W/m2Kの性能を持つ。長さ16mまでパネル1枚で製造可能。LEDを組み込むこともできる(写真:永井宏冶)
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Glass Sandwich Panelを使用したスーパーマーケット(写真:iconic skin)
Glass Sandwich Panelを使用したスーパーマーケット(写真:iconic skin)
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 前述のようなガラスやアクリル質パネルは、太陽光発電(PV)パネルをファサードに組み込む場合に使用されることが多い。これは、従来型のPVパネルの光沢ある表面と組み合わせても不自然でないことや、PVとはわかりにくいデザインの発電パネルと同じデザインにできるため、ファサードに均一感を出せることが売りになっているからだ。

デザインを自由に選択できるPVファサードパネル。PVパネルと全くわからないものは、そうでないものよりも発電効率は低い。プラスエネルギーハウスのように、建物によってはファサードでの発電も必要となる場合、デザインと省エネ技術を妥協無しで両立させるアイテムとして使用されている(写真:永井宏冶)
デザインを自由に選択できるPVファサードパネル。PVパネルと全くわからないものは、そうでないものよりも発電効率は低い。プラスエネルギーハウスのように、建物によってはファサードでの発電も必要となる場合、デザインと省エネ技術を妥協無しで両立させるアイテムとして使用されている(写真:永井宏冶)
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