CLTなど新開発の木質材料を使おうと検討している人たちが最も気にかけていることの一つが耐久性だろう。特に接着剤の寿命がどのくらいあるのか、接着性能がどこまで維持されるかは、接着剤を使った材が長期にわたって存在し続けた事例が少ないため、不明な点がなお多い。国立研究開発法人 森林総合研究所で集成材研究チームのリーダーを努める宮武敦氏に、集成材の接着層の耐久性はどこまで明らかになっているのか、どのように考えるべきなのかを解説してもらった。
私は、1986年に、当時の林業試験場(編集注:林野庁所属の機関。1988年に森林総合研究所に改編し、名称を変更)に入り、集成加工に関わる研究に取り組んできた。主に挽き板を扱ってきたので、最近はCLTについての研究も行っている。
今日は木材や木質材料の接着層の耐久性について説明させていただく。
接着耐久性は、「木材」、「接着剤」、「接着界面」の3つの要素に分けて考えるのが適当だろう。
木材・木質材料
- 製材
- 集成材
- CLT
- LVL
- 合板
- PSL
- LSL
- OSB
- パーティクルボード
- 繊維板
耐久性・耐用年数を3要素にわけて考える⇒ファイブリンクセオリー
- 木材
- 接着剤
- 接着界面
まず「木材」の耐久性については、7世紀に建立された法隆寺をみなさんご存知のように、きちんと使えば1000年の耐久性があることが実証されているので、ここでは説明を省略する。