木の変色や傷は味わいとなり、気にならない
イトーキの「木づかい」の取り組み概要の説明を受けて、早速、ビルの3階に入居する新提案のオフィス空間を案内してもらった。
エレベーターを降りると、フロア全体を巡る回廊にはスギ無垢材のフローリングが敷かれていた。節が目立ち、また、柔らかく傷も付きやすいということもあり、3年を経て凹みや傷も見受けられた。
「SYNC office」と名付けられたオフィス空間に足を踏み入れると、「人と情報の流動化を促進するフリーアドレス」化を進めたユニークなオフィス空間が広がっていた。
例えば「キャンプ」というスペースは、オフィス内に設けられた木で囲われたブースだ。「saltus(サルタス)」と呼ばれる木とスチールを使った組み立て家具で、等間隔に空けたスリットが周囲との連続性を保ちつつ、視線や音に対しては半分閉じている。プロジェクトチームが会議や作業を行うためのスペースとして利用されている。回廊からはチームが何をしているかが見え、閉鎖性を排した「風通しのよさ」が演出されている。
また、視界に入るデスクや棚などはスチール製だが天板には木が多用され、木がふんだんに使われているオフィスという印象を受けた。木肌の暖かみや肌合いは、オフィスワーカーを癒す効果もあるという。
脇阪氏は「オフィス内装や家具に木を使うことについて、変色や傷が付くのではないかと心配する事業者も多い。そこで当社で率先して使ってみたが、変色や傷は実はそれほど気にならず、むしろ味わいとなることがわかった」と話す。節ありの材は一つとして同じ表情がないのでクリエイティブだとむしろ喜ばれているそうだ。
大規模木質オフィス空間を現在進行形で活用し、事業者への営業の現場で提案につなげることを意気込む。